前回は事業承継税制の法人版事業承継税制の贈与税に係る納税猶予・免除制度における①特例承継計画の策定・提出・確認→②贈与までの流れについてまとめましたが、今回は法人版事業承継税制の贈与税に係る納税猶予・免除制度における③贈与税の申告期限までの間について書いていきます。
上記の③贈与税の申告期限までの間について、(A)会社の要件、(B)後継者(受贈者)の要件、(C)先代経営者等(贈与者) の要件を充足している場合、都道府県知事に「円滑化法の認定」を受ける必要があります。あわせて、贈与税の申告期限までに、制度適用に関する贈与税申告書と一定書類を税務署へ提出するとともに、納税猶予の贈与税額および利子税額に見合う担保を提供する必要があります。
上記(A)~(C)における、この制度の適用を受けるための要件としては、以下が挙げられます。
まず、(A)会社の要件として、主に(a)上場会社、(b)中小企業者に該当しない会社、(c)風俗営業会社、(d)資産管理会社(一定要件を満たすものを除く)に該当しないことが挙げられます。
次に(B)後継者(受贈者)の要件として、主に贈与時において、(a)会社の代表権、(b)20歳以上(令和4年4月1日以降の贈与は18歳以上)、(c)役員就任から3年以上経過、(d)後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数50%超の議決権数を保有、(e)後継者の議決権数が、次の(イ)または(ロ)に該当すること(特例措置) :(イ)後継者が1人の場合、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く) の中で最も多くの議決権数を保有、(ロ)後継者が2人または3人の場合、総議決権数10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く) の中で最も多くの議決権数を保有、が挙げられます。
最後に(C)先代経営者等(贈与者) の要件として、主に(a)贈与前に会社の代表権を有していた、(b)贈与直前に贈与者および贈与者と特別の関係がある者で総議決権数50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有、(c) 贈与時に会社の代表権を有していない、が挙げられます。
このような「円滑化法の認定」を受けるためには、贈与年の翌年1月15日までにその申請を行う必要があります。また、会社策定の「特例承継計画」の具体的内容や「円滑化法の認定」の具体的な要件・手続は、会社の主たる事務所が所在する都道府県に確認する必要があります。
上記の④贈与税の申告期限について、贈与年の翌年2月1日から3月15日までに受贈者の住所地所轄の税務署に贈与税申告をする必要があります。
次回も事業承継税制について触れていきます。