前回は事業承継税制の法人版事業承継税制の相続税に係る納税猶予・免除制度の①特例承継計画の策定・提出・確認→②相続開始についてまとめましたが、今回は法人版事業承継税制の相続税に係る納税猶予・免除制度の③相続税の申告期限までの間→④相続税の申告期限について書いていきます。
上記の③相続税の申告期限までの間について、前回書いたように(A)会社の要件、(B)後継者(相続人)の要件、(C)先代経営者等(被相続人) の要件を充足している場合、都道府県知事に「円滑化法の認定」を受ける必要があります。あわせて、相続税の申告期限までに、制度適用に関する相続税申告書と一定書類を税務署へ提出するとともに、納税猶予の相続税額および利子税額に見合う担保を提供する必要があります。
上記(A)~(C)における、この制度の適用を受けるための要件としては、以下が挙げられます。
まず、(A)会社の要件として、主に(a)上場会社、(b)中小企業者に該当しない会社、(c)風俗営業会社、(d)資産管理会社(一定要件を満たすものを除く)に該当しないことが挙げられます。
次に(B)後継者(相続人等)の要件として、相続開始日において、 主に(a)その翌日から5ヶ月以内に会社の代表権、(b)後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数50%超の議決権数を保有、(c)後継者の議決権数が、次の(イ)または(ロ)に該当すること(特例措置) :(イ)後継者が1人の場合、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く) の中で最も多くの議決権数を保有、(ロ)後継者が2人または3人の場合、総議決権数10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く) の中で最も多くの議決権数を保有、(d)相続直前に会社役員(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く)、が挙げられます。
最後に(C)先代経営者等(被相続人) の要件として、主に(a)会社の代表権を有していた、(b)相続開始直前に被相続人および被相続人と特別の関係がある者で総議決権数50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有、が挙げられます。
会社策定の「特例承継計画」の具体的内容や「円滑化法の認定」の具体的な要件・手続は、会社の主たる事務所が所在する都道府県に確認する必要があります。
上記の④相続税の申告期限について、被相続人の死亡日(相続開始を知った日)の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地所轄の税務署に相続税申告をする必要があります。
次回も事業承継税制について触れていきます。