これまで介護サービスの内容や施設について触れましたが、今回はその介護サービスの情報公開システムや介護サービスに対する苦情等の不服申立について少し詳しくまとめてみます。
これまで見てきたように、介護サービスの内容は多岐にわたり、また、介護サービスを提供する事業者は日本全国に多数存在するため、要介護認定を受けた方やその介護者が受けたいと思うサービスをどの事業所が提供しているかは分かりにくい部分があると思います。
インターネットで検索すれば、出てくる事業所もありますが、ホームページ等のインターネット対応していない事業所はあまり情報が出てきません。
そこで利用者が情報検索しやすいシステムとして公開されているのが、厚生労働省が運営する介護サービス情報公開システム(介護事業所・生活関連情報検索)です。
このシステムを利用すれば、要介護度、サービス、市町村等の希望する条件を選ぶことで、候補となる介護サービス提供事業者等を24時間・365日いつでも閲覧することができます。
介護サービス提供事業者等は1年に1回、必要な情報を都道府県に報告する義務を負っています。
厚生労働省は、報告された情報をデータベース化して、誰でもいつでも介護サービス提供事業者等を探せるように、介護サービス情報公開システムを公開しています。
公開されている内容は、介護サービスの種類、所在地、連絡先、事業所の特徴、利用者や従業員の男女比・年齢構成比などに加え、運営状況を5段階評価し市町村平均と比べるレーダーチャートなど多岐にわたり、他の介護サービス提供事業者等と比較検討できるようになっております。
介護サービス提供事業者等が報告する情報は、利用者の判断材料となるため、誤りや虚偽等があってはなりません。そのため、都道府県は報告を受けた内容に虚偽の疑いがある場合、
介護サービス提供事業者等に調査を実施できることとなっております。
次に介護サービス提供事業者等のサービス提供を受けた場合で、介護サービスの内容に不満がある場合、苦情を申し立てることができます。
まず、最初は介護サービス提供事業者等に直接、苦情を申し立てることになります。
しかし、それでも納得する回答・対応が得られず解決しない場合、都道府県が設置する国民健康保険団体連合会(国保連)や都道府県の社会福祉協議会が設置する運営適正化委員会に苦情を申し立てることができます。
これらの組織は、利用者から苦情を申し立てられると、介護サービス提供事業者等を調査し、必要に応じて指導します。その後、これらを実施した結果が利用者に通知されます。
また、介護サービスでなく、市町村の介護認定結果に不服がある場合は、行政不服審査法による審査請求を行うことができます。
このように、介護サービスをこれから受けようとする利用者やこれまで利用してきた利用者の利便性を高める制度があります。
介護サービスの利用者にとって、納得いく形でサービス提供を受けるため、こういったシステムや制度を活用してみてもよいかもしれません。