前回、介護保険制度における施設サービスの施設・サービスについて書いたので、今回は介護保険制度における居宅サービス・地域密着型サービスに係るサービスについて少し詳しくまとめてみます。
介護保険制度では、施設サービス(介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)など)を利用した場合、サービス内容が重複するため、居宅サービス(訪問看護や通所介護など)を利用できないことになっています。
しかし、介護保険施設ではない有料老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などに入居している方への介護サービスの提供は、在宅でのサービス提供という取扱いになり、居宅サービスのサービス提供を受けることができます。
介護保険施設は施設で介護サービスを提供されるため居住と介護が切り離されていませんが、上記のような介護保険施設ではない有料老人ホーム等は居住と介護が別々の扱いで、契約も別になっていたりします。
また、施設サービスを利用していない利用者が、介護保険施設内に併設されている施設を利用する場合も、在宅でのサービス提供という取扱いになり、居宅サービスのサービス提供を受けることができます。
例えば、短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)や通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)などがそれに当たります。
では、以下で介護保険施設ではない介護施設を見ていきます。
まず、有料老人ホームとは、老人福祉法で定めた、常時1人以上の老人の入所があり、介護等サービスを提供することを目的とした施設で、老人福祉施設(以下参照)ではないものです。設置に当たっては都道府県知事等への届出が必要です。
民間企業が経営しているケースが多く、料金設定も様々です。
次に、前述の老人福祉施設ですが、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターといった施設があります。
老人デイサービスセンターは、高齢者に対して入浴・食事の提供、機能訓練などを提供する施設で、行政の措置で通わせる者や介護保険法等で認められた者が対象者となります。
老人短期入所施設は、介護者の病気等で、居宅で介護を受けることが一時的に困難となった高齢者を短期間入所させ養護する施設でのことで、対象者は老人デイサービスセンターの範囲と同様です。
養護老人ホームは、行政による入所措置施設で、主に経済的な理由により居宅で養護を受けることが困難な65歳以上の高齢者を入所させ養護する施設のことです。介護保険施設でないため、入所申込は市町村に行います。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、前回の施設サービスで書いた通りです。
軽費老人ホームは、無料又は低額な料金で、60歳以上の者を入所させ食事の提供など日常生活上必要なサービスを提供する施設のことです。食事サービスのあるA型、自炊前提のB型、食事や生活介護などが付帯するC型(ケアハウス)の3種類あります。
老人福祉センターは、無料又は低額な料金で、老人に関する相談に応じたり、老人に対して健康の増進、教養の向上及びレクリエーション等を提供する施設のことです。
老人介護支援センターは、老人福祉に関する専門的な情報提供・相談・指導や、居宅介護を受ける老人・介護者等と老人福祉事業者と間の連絡調整、その他援助を行う施設のことです。
介護保険制度の地域密着型サービスが提供される施設としてグループホーム(認知症対応型共同生活介護)があります。
グループホームは、比較的症状の軽い認知症の高齢者が少人数で共同生活する施設です。
入居できるのは、原則として65歳以上の認知症と診断されている要支援2から要介護5までの方で、基本的に施設がある市町村に住民票がある必要があります。
最後にサービス付き高齢者向け住宅ですが、サ高住と呼ばれ、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅のことを言います。
60歳以上の高齢者か要介護認定を受けた60歳未満の方を対象としております。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はあくまで施設の賃貸借契約であり、長期入院等で退去の必要はありません。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には、一般型と介護型の二種類があります。
一般型は、独居や夫婦2人暮らしである程度自立している方が利用しますが、介護が必要になった場合は外部の介護サービスと別個に契約する必要があります。
介護型は、厚生労働省の定める特定施設の指定を受けており、介護が必要になった場合は建物内に常駐するスタッフから介護サービスや生活支援サポートを受けることができます。
高齢者の心身や生活の状況などに応じて様々な選択肢があり、必ずしも全員が希望通りではないかもしれないが、高齢者が安心して暮らすためのバックアップ体制が整備されているのですね。