医療・介護系へ興味をもった理由

前回、バランスと書きましたが、私は何事もバランスが重要と考えます。

仕事と趣味、お金と余暇、仕事の分担、人間関係、食事の栄養など、バランスを乱して何かに偏るといずれ支障が出る可能性があります。

一時的には偏っても構いませんが、適度に方向修正して、常にバランスを意識してこそ、物事がうまく回るように感じます。

職場でもバランス感覚の良い人や組織のバランス調整がうまい人などは、出世する傾向にあるようです。

ただ、仕事の上では、バランスを意識するあまり、無難な対応ばかりに終始していたら、組織に埋没してしまう可能性もあり、自分なりの特徴、突出したものを前面に押し出すことも時には必要です。

私の現在の名刺は、名前の前に公認会計士・税理士・宅地建物取引士・診療情報管理士の4つの資格を表記しています。

この名刺をご覧になった方は、診療情報管理士という資格に違和感を覚えるようです。

前3者は、会計・法律系で主に文系の方が取得する資格というイメージですが、診療情報管理士は、医療系の資格でどちらかというと理系のイメージがあるのでしょう。

確かに、診療情報管理士の資格の勉強をしていた時、用語等がそれまでと勝手が違い、なかなか頭に入ってこなかったので、問題集2回転するまでは大変苦労しました。

診療情報管理士は、医療事務系の資格の中では、比較的難しい資格と言われています。

診療情報管理士の仕事は、ざっくりいうと、患者の診療情報を分類・収集等し、データを加工・分析し、様々なニーズに適した情報を提供することです。分かりにくいので例を挙げると、病院で患者さんのカルテ等をデータベース化し、患者来院時に過去の診療内容等について医師が的確に把握する手助けをする、といった仕事です。

また、診療情報管理士の資格について少し説明すると、試験内容は大雑把にいうと、人体構造、医学・医療用語や臨床医学等の診療に関する知識や医療管理、医療統計や診療情報管理等の医療管理に関する知識などが問われます。

2年間の通信教育を修了した後、本試験に合格することで資格が取得できます(ただし、医師、歯科医師、看護師、薬剤師等の資格を有する方は一部免除があります)。本試験はマークシートと実技(国際疾病分類(私の受験時はICD10)で病名を分類)で行われます。

ですので、通信教育受講から資格をとるまで、最短でも3年弱かかります。

特に診療に関する知識は、ほとんどゼロに近かったので、たくさんの病気の病名・症状・検査法・治療法を覚えるのに苦しみました。

診療情報管理士という医療系の資格をなぜ取得したかにと言うと、前述した自分なりの特徴、突出したものを身に着けたかったからです。

以前、勤務していた監査法人では、製造業・卸売業・小売業から金融機関まで幅広い業種の会計監査に従事していましたが、それが逆に自分の得意分野・業種の形成につながっていないというジレンマを抱えていました。

そこで医療・介護系に特化した部署への配属を希望し、自分の得意分野・業種を形成しようと考えました。働くうちに医療・介護系の仕事が面白くなっていき、大病院だけでなく、病院・診療所等の状況も知りたくなり、医療系に特化した税理士法人へ転職しました。

このような過程でドクターや事務局長等の医療関係者とお話をするには、医療系の知識を深めないと表面的な会話だけで終わってしまうと感じるようになりました。そこで、医療系の知識を深めるため、診療情報管理士の資格取得することを決め、働きながら勉強しました。

本試験前の1週間は1日2時間睡眠でしたが、最後の追込効果(締切効果)が効き、何とか1回目の受験で合格することができました。

このように医療・介護系に特化することで、自分の進むべき道が徐々に明確になっていった感じです(退職等でいろいろな方にご迷惑をおかけしたことは大変申し訳ありません)。

バランスよく、いろいろな業種に関する知識を得ることも必要なことでしたが、ある時、バランスを崩して、特定の業種に特化したことは、自分にとってターニングポイントになりました。

前回の結論とは逆になりますが、長い人生ですから、バランスをあえて崩すというのも時には必要ですね。