これまで医療計画と地域医療構想について何度か触れましたが、今回はこれらの違いについて少し詳しくまとめてみます。
医療計画とは、医療機関の適正配置や医療資源の効率的活用、病院の機能分化などを図るため、医療圏の設定、病床数(ベッド数)、救急体制などについて都道府県が作成する整備計画のことを言います。
医療計画は、6年毎に見直されており、現在は第7次医療計画が進行中です。
見直しは、主に基準病床数、医療圏の設定、医療連携体制、救急医療・僻地医療・周産期医療・小児医療の確保、医療従事者の確保等に対して行われます。
ここで医療圏とは、地域の実情に応じた医療の提供体制確保のために、都道府県が設定する地域的単位のことを言います。医療圏は、一次から三次までありますが、一次は市町村、二次が複数の市町村、三次が都道府県を単位とするのが一般的ですが、病床整備等は基本的に二次医療圏を単位として行われます。
一方で、地域医療構想とは、4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)における2025年の必要病床数を踏まえ、病床の機能分化と連携および効率的な医療提供体制を実現するための取組のことを言います。
以前書いたように、団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降は超高齢化社会になると考えられています(2025年問題)。
この超高齢化社会に対応できる医療提供体制を構築するため、2014年に医療介護総合確保推進法が制定され、そこで地域医療構想も制度化されました。これに基づき、2016年度にはすべての都道府県で地域医療構想が策定され、2018年より第7次医療計画の中にも組み込まれました。
地域医療構想を実現するための取組として、構想区域ごとに地域医療構想調整会議を設置し、会議における関係者の協議を通じて、地域の状況に応じた病床の機能分化と連携を進めることになっております。
つまり、医療計画と地域医療構想の関係は、医療計画がその中に地域医療構想を包含する、より上位の概念と言えます。
第7次医療計画では、地域医療構想に基づく必要病床数と医療法に基づく基準病床数の双方が明記されていますが、両者は目的と役割の点で相違します。前者は、病床の地域的偏在を是正する目的で設定され、都道府県知事の許可により病床規制を行うことができます。一方、後者は将来の必要病床数に応じて病床の機能分化・連携を推進することを目的とし、都道府県知事が病床規制する仕組みとしては機能しておりません。
このように両者は相違する点はありますが、第7次医療計画は2023年までで、地域医療構想で想定する2025年とほぼ同時期であることから、両者の使い分けが重要になってきます。
地域医療構想は、策定するだけで十分ではなく、実現に向けた取組みが重要です。地域の関係者で協議し、医療計画の一環である地域医療構想を実現するため、地域の実情に応じた施策を考え、実行していく取組が求められます。
地域格差が顕著になった今、国による施策だけでは、根本的な解決に至らないことも多くなってきました。少なくとも医療・介護分野では、地域が主体となって、問題解決せざるを得ない状況になりつつあります。
今後は、地域で問題の共有を図り、積極的に問題解決に向かう姿勢を持つことが重要になりますね!