前回は地域包括ケアシステムについて少し触れたので、今回は地域包括ケアシステムについて少し詳しくまとめてみます。
国は従来から、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、医療・介護・生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しています。
つまり、人生の最終段階を病院や介護施設ではなく、自宅で過ごすことができるような体制に構築し、自宅での看取りを理想的な形とするものです。
1980年代に広島県御調町(現在は尾道市)が、医療と福祉の行政が連携して「高齢者の寝たきりゼロ」を目指すという取組みを行い、これが地域包括ケアシステムと呼ばれるようになりました。
このような地域包括ケアシステムの構築が求められるようになった背景には、急速に進む少子高齢化です。これにより全国的に介護施設が不足する中で、国はケアの場を施設から自宅へと移すことを重視しております。
しかし、その構築のためには、地域における医療・介護機関の連携による、包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供が必要になります。
具体的なアプローチとしては、かかりつけ医や多職種連携などが挙げられます。
かかりつけ医については、大病院以外の病院・診療所をかかりつけ医とすることで、地域でよりきめ細やかなケアのできる体制作りを目指します。
また、多職種連携は、医師が訪問診療を行うだけでなく、医療に関わる他の職種も併せて訪問することにより、ケアの充実を目指します。
この方向性からすれば、今後は近所のかかりつけ医師・歯科医師・薬局や介護施設に通院・通所し、それが困難となってきたら、複数の医療従事者等による訪問診療・介護等が行われるという流れになり、結果として在宅での看取りが増えていくと思います。
これにより家族の看護負担増大やケアに関わる医療機関・介護機関の情報共有の充分性等の課題は残ります。しかし、地域包括ケアシステムは財政負担の削減や団塊世代の高齢化(いわゆる2025年問題)等の諸問題を解決に導く可能性があるため、その構築が求められています。
その点、地域包括ケアシステムは、市区町村が3年ごとに作成している介護保険事業計画に従って計画的に導入が進められます。 全国一律で策定されるのではなく、それぞれの地域が独自にケアシステムの計画を作り上げていくのです。
皆様の住んでいる地域において、どのような計画があるのかをご覧になってみるもの面白いかもしれません。
2020年には診療報酬改定もあり、医療・介護の方向性や診療報酬に関する今後の動向から目が離せません。