前回まで相続税の計算方法(1)~(3)をまとめましたが、今回はその続き相続税の計算方法(4)について書いていきます。
相続税の計算方法(4)は各人の納付税額の計算についてで、2割加算や控除等を加減算して相続税納付額を算定します。
相続税の計算方法(3)で計算した各人の相続税額に、相続税額の20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。
税額控除額は、①暦年課税分の贈与税額控除、②配偶者の税額軽減、③未成年者控除、④障害者控除、⑤相次相続控除、⑥外国税額控除、⑦相続時精算課税分の贈与税相当額(外国税額控除前)の順で計算します。
相続税額の20%加算については、以前、被相続人の配偶者、父母、子ではない方(例えば、被相続人の兄弟姉妹やおい・めい)が相続人となった場合、相続税が20%高くなると書きましたが、ここでの計算のことを言っております。
次に税額控除額については、以下で説明します。
まず、①暦年課税分の贈与税額控除、⑦相続時精算課税分の贈与税相当額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に対する贈与税の税額のことです。贈与財産価格は加算されたので、それに対応する贈与税額は控除する趣旨です。
次に、②配偶者の税額軽減は、相続税の計算方法(2)の課税価格の合計額×配偶者の法定相続分と1憶6円万円のうち多い金額までは控除でき、相続税はかからないというものです。③未成年者控除は未成年者が20歳まで、④障害者控除は障害者が85歳まで、その年齢に達するまでの年数に応じて控除できます。⑥外国税額控除は、国外財産に現地の法令で相続税に相当する税を納付した時に控除できます。
最後に、⑤相次相続控除ですが、二次相続(例えば父死亡時が一次相続なら、その後母死亡時が二次相続)の開始前10年以内に、一次相続で相続税の納付対象となった財産を二次相続で取得した場合、一定額を控除するものです。
原則として、これらの計算により算出された税額が各相続人等の納付税額となりますが、医療法人持分税額控除(認定医療法人の持分を相続放棄した場合の放棄相当相続税額)があれば、これも控除できます。
なお、各相続人等の納付すべき税額が赤字の場合、赤字税額(絶対値)から相続時精算課税の贈与税計算時に控除した外国税額を控除した金額について、相続税の還付を受けることができます。
相続税の納付額を計算するまで数次の段階を踏まないといけないため、複雑なように見えますが、1つ1つの計算は単純ですので、根気強く計算していけば、辿り着けます。相続税の計算方法(4)税額控除額の②配偶者の税額軽減の金額が大きいので、二次相続まで視野に入れた相続税シミュレーションをする上では、大きなポイントとなります。
これで相続税の計算方法は終わりになります。