前回まで相続税の計算方法をまとめましたが、今回から相続財産の評価について書いていきます。
相続税の計算方法では、各人の取得した財産価格が算出されていることを前提に、相続税の計算の方法・手順を説明してきました。
今回からの相続財産の評価は、その前提となった各人の取得した財産価格について、算出の方法・手順を説明します。
まず、相続財産といっても幅広く、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
相続財産の評価は、購入時の価額ではなく、原則として相続・遺贈・贈与で取得した時(相続開始時)の時価で評価しなければならないため、さらに評価は面倒です。
特に、土地と取引相場のない株式の評価は、複雑な計算過程を経なければならない場合が多く、専門家である税理士でも頭を悩ますことが多いです。
土地の評価等の複雑な話は後から書くとして、今回は比較的、理解しやすいと思われる預貯金、棚卸商品等、書画骨とう品の評価について説明します。
まず、預貯金ですが、相続開始時における預入高に、その時点で解約した場合の既経過利子額から源泉徴収されるべき所得税相当額を控除した金額をプラスして評価します。ただし、定期預金、定期郵便貯金及び定額郵便貯金以外の預貯金で、既経過利子額が少額な場合は、相続開始時における預入高で評価します。
次に、棚卸商品等ですが、商品、原材料、半製品・仕掛品、製品・生産品に分かれます。
商品と製品・生産品は、評価方法が同じで、販売価額から適正利潤額・予定経費額・消費税等を引いた金額で評価します。
原材料の価額は、仕入価額に引取運賃やその他経費を足した金額で評価します。
半製品・仕掛品の価額は、原材料の仕入価額に引取運賃、加工費やその他の経費を足した金額で評価します。
最後に、書画骨とう品ですが、業者として販売目的で所有しているものは上記の棚卸商品等と同じ方法で評価します。一方、販売目的でない場合は、売買実例価額、精通者意見価格等を考慮して評価します。
前述のように相続財産といっても幅広く、種類は多いため、次回以降も相続財産の評価について触れていきます。