相続財産の評価(その13)

前回は相続財産の評価で家屋(建物)についてまとめましたが、今回は構築物・果樹等・立竹木について書いていきます。

まず、構築物ですが、その評価単位は、原則として、1個の構築物ごとに評価します。ただし、2個以上の構築物でそれらを分離した場合にそれぞれの利用価値を著しく低下するケースではそれらを一括して評価します。

構築物の価額は、構築物の再建築価額から、建築の時から相続時までの期間(1年未満の端数は1年とする)までの定率表による償却累計額(または減価額)を控除した金額に70%を乗じた金額で評価します。

参考までに、文化財建造物である構築物の評価も別途定めがあり、通常の構築物の評価額から、その価額に一定の控除割合(重要文化財:0.7、登録有形文化財0.3、伝統的建造物0.3)を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価します。

次に、果樹等(果樹その他これに類するもの)ですが、その評価単位は、樹種ごとに幼齢樹(成熟樹に達しない樹齢のもの)および成熟樹(その収穫物による収支が均衡する程度の樹齢に達したもの)に区分し、それらの区分に応ずる樹齢ごとに評価します。

果樹等の価額のうち、幼齢樹は植樹から相続時までの苗木代、肥料代、薬剤費等の現価合計額に、成熟樹は植樹から成熟時までの苗木代・肥料代・薬剤費等の現価合計額から成熟時から相続時までの期間(1年未満の端数1年とする)までの定額法による償却累計額を控除した金額に、それぞれ70%を乗じた金額で評価します。

なお、屋敷内にある果樹等および畑の境界にある果樹等でその数量が少なく、かつ、収益を目的として所有するものでないものは、評価しません。

最後に、立竹木(立木及び立竹)について触れます。

立木および立竹の評価単位は、所在する場所でそれぞれ異なります。

所在するのが庭園の場合、立竹木は庭園内の全部で評価します。所在するのが森林の場合、立木は樹種及び樹齢を同じくする1団地の立木、立竹は1団地にある立竹で評価します。左記以外に所在する場合、立木は1団地の立木、立竹は1団地にある立竹で評価します。

立木および立竹の評価も、所在する場所でそれぞれ異なります。

庭園にある立木および立竹は、家屋の附属設備等である庭園設備と一括して評価します。

森林にある主要樹種(杉およびひのき)の立木は、原則として、国税局長の定める標準価額に地味級(地味の肥せき)・立木度(立木の密度)・地利級(立木の搬出の便否)と森林の地積を乗じた金額で評価します。ただし、地積に岩石・がけ崩れ等による不利用地が含まれている場合は地積から除外する。

森林にある主要樹種以外の立木は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。ただし、国税局長が標準価額を定めている樹種は、森林にある主要樹種(杉およびひのき)の立木の原則的方法と同様に評価します。

庭園にある立木や森林の立木以外の立木は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。