相続財産の評価(その17)

前回は、相続財産の評価で土地の評価単位のうち宅地の評価単位についてまとめましたが、今回は宅地の評価方法について書いていきます。

宅地の評価方法ですが、宅地は、原則として、市街地的形態を形成する地域にある宅地であれば路線価方式、それ以外は倍率方式で評価します。

まず、路線価方式とは、宅地の面する路線に付された路線価を基とし、一定の方法により計算した金額によって評価する方式を言います。路線価方式は、一定の方法で算出した1㎡当たりの価額に地積を乗じて計算します(一定の方法については次回詳述)。

ここで、路線価とは、路線に接する宅地で、一定の事項に該当する売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基に路線ごとに評定した1㎡当たりの価額を言います。左記の一定の事項は、①路線のほぼ中央部、②一連の宅地に共通している地勢、③その路線だけに接している、④路線に面している宅地の標準的な間口距離および奥行距離を有するく形又は正方形のもの、を言います。路線価は、宅地の価額がおおむね同一である一連の宅地が面している路線(不特定多数の者が通行する道路)ごとに設定します。

路線価方式により評価する地域(路線価地域)は、宅地の利用状況がおおむね同一である一定の地域ごとに、①ビル街地区、②高度商業地区、③繁華街地区、④普通商業・併用住宅地区、⑤普通住宅地区、⑥中小工場地区、⑦大工場地区、の各地区が定められています。

また、路線価地域内において、相続税、贈与税または地価税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する場合、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(特定路線価)を納税義務者(相続人)からの申出等により設定することができます。ここで、特定路線価とは、特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線および当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、地区の別等を考慮して評定した1㎡当たりの価額を言います。

次に、倍率方式とは、固定資産税評価額(土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳に登録された基準年度の価格または比準価格)に、一定地域の実情に即して定める倍率を乗じて計算します。

ここで倍率とは、地域の宅地の売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を考慮して定めた割合を言います。

ただし、倍率方式により評価する地域(倍率地域)に所在する地積規模の大きな宅地の価額は、宅地が標準的な間口距離および奥行距離を有する宅地とした場合の1㎡当たりの価額を路線価とし、かつ、その宅地が普通住宅地区に所在するものとして路線価方式の定めに準じて計算した価額を上回る場合には、路線価方式による地積規模の大きな宅地に準じて計算することができます。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。