相続財産の評価(その22)

前回は、相続財産の評価で貸宅地の評価方法についてまとめましたが、今回は貸家建付地、貸家建付借地権、転貸借地権、転借権、借家人の土地の権利の評価方法について書いていきます。

まず、貸家建付地と貸家建付借地権について説明します。

貸家建付地と貸家建付借地権は名称が似ているので、それぞれの意味を整理します。

貸家建付地とは、被相続人が所有していた土地に建っている家屋を他人に貸し付けている場合の土地のことをいいます。一方、貸家建付借地権は、被相続人が借りていた土地に建っている家屋を他人に貸し付けている場合の借地権のことをいいます。

貸家建付地の評価方法は、自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じた金額を控除して評価します。

また、貸家建付借地権の評価方法は、借地権(または定期借地権)の価額から、借地権(または定期借地権)の価額に借家権割合・賃貸割合を乗じた金額を控除して評価します。

次に、転貸借地権と転借権について説明します。

転貸借地権と転借権も名称が似ているので、それぞれの意味を整理します。

転貸借地権とは、被相続人が借りていた土地を他人に貸し付けている場合の借地権のことをいいます。一方、転借権とは、他人が借りていた土地を被相続人に借りていた場合の借地権のことをいいます。

転貸借地権の評価方法は、借地権価額から、以下の転借権の価額を控除した金額で評価します。

転借権の評価方法は、原則として、借地権価額に借地権割合を乗じた金額で評価します。ただし、転借権に係る土地が貸家の敷地として利用されている場合は、借地権価額に借地権割合を乗じた金額から、借地権価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じた金額を控除して評価します。

最後に、借家人の土地の権利の評価方法ですが、借家人が借家の敷地である宅地等に対して有する権利のことであり、権利金等を支払う取引慣行がある地域とない地域で評価が異なります。

まず、権利金等を支払う取引慣行がある地域では、以下のように評価します。

借家の敷地である宅地また借地権に対する権利である場合、敷地の借地権価額に借家権割合・賃貸割合を乗じた金額で評価します。また、借家の敷地である宅地に係る転借権に対する権利である場合は、敷地の借地権価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じた金額で評価します。

一方、権利金等を支払う取引慣行がない地域では、評価しません。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。