相続財産の評価(その25)

前回は、相続財産の評価で定期借地権等の目的となっている宅地の評価方法についてまとめましたが、今回は農地(田・畑)の評価方法について書いていきます。

農地等の評価について、農地、貸し付けられている農地、耕作権について説明します。

まず、農地は、(1)純農地、(2)中間農地、(3)市街地周辺農地、(4)市街地農地に分類されます。

上記(1)純農地は、①農用地区域内にある農地、②市街化調整区域内にある農地のうち1種農地または甲種農地に該当するもの、③左記①および②以外の農地で、第1種農地に該当するもの(ただし、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地または第3種農地に準ずる農地と認められるものを除く)になります。純農地は、固定資産税評価額に倍率を乗じた金額(倍率方式)で評価します。

上記(2)中間農地は、①第2種農地に該当するもの、②左記①以外の農地で、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地に準ずる農地と認められるものになります。中間農地も、倍率方式で評価します。

上記(3)市街地周辺農地は、①第3種農地に該当するもの、②左記①以外の農地で、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第3種農地に準ずる農地と認められるものになります。市街地周辺農地は、(4)市街地農地の価額の80%相当額で評価します。

上記(4)市街地農地は、①転用許可を受けた農地、②市街化区域内にある農地、③転用許可を要しない農地として都道府県知事の指定を受けたものになります。市街地農地は、農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額から農地を宅地に転用する場合に通常必要な国税局長の定める1㎡当たりの造成費を控除した金額に地積を乗じた金額で評価します。ただし、倍率方式で評価することもできます。

次に、貸し付けられている農地は、自用地としての価額から耕作権等の価額を控除した金額で評価します。

最後に、耕作権ですが、耕作権は純農地・中間農地に係る耕作権と市街地周辺農地・市街地農地に係る耕作権では評価が異なります。

純農地・中間農地に係る耕作権は、倍率方式で評価した金額の50%相当額で評価します。市街地周辺農地・市街地農地に係る耕作権は、農地を転用する場合に通常支払われるべき離作料の額、農地付近にある宅地に係る借地権の価額等を考慮して算定した金額で評価します。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。