相続財産の評価(その4)

前回は相続財産の評価で営業権以外の無体財産権についてまとめましたが、今回は無体財産権の営業権の評価について書いていきます。

営業権とは、事業で培われた伝統・ブランド、社会的信用、取引関係、法律上の権利等を総合した有形無形の財産を言います。営業権は、他事業を上回る収益を獲得できる超過収益力であり、のれんと呼ばれます。

被相続人が事業を行っていた場合、その事業を相続することになりますが、事業の超過収益力を営業権として評価する必要があります。

営業権は、超過利益金額に営業権持続年数(原則10年)に応ずる基準年利率の複利年金原価率を乗じて評価します。

超過利益金額は、平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額×0.05の算式で計算します。

まず、平均利益金額は、①相続の前年以前3年間における所得合計の3分の1相当額、②相続の前年1年間の所得のいずれか小さい方の金額で計算します。

ここでいう所得は、事業所得(法人は所得に損金算入した繰越欠損金控除額を加算した金額)に、非経常的な損益額・借入金等の支払利子・社債発行差金の償却費・青色事業専従者給与額または事業専従者控除額(法人は損金算入した役員給与額)を加算した金額で計算します。

次に、標準企業者報酬額は、平均利益金額に応じて、①1億円以下:平均利益金額×0.3+1,000万円、②1億円超、3億円以下:平均利益金額×0.2+2,000万円、③3億円超、5億円以下:平均利益金額×0.1+5,000万円、④5億円超:平均利益金額×0.05+7,500万円で計算します。上記より平均利益金額が5,000万円以下の場合は、標準企業者報酬額が平均利益金額の2分の1以上の金額となるため営業権の価額は算出されません。

最後に、総資産価額は、相続時点(法人は直前事業年度末)における総資産を財産評価基本通達に基づき評価します。

なお、医師、弁護士等のような技術、手腕または才能等を主とする事業に係る営業権で、その事業者の死亡により消滅する場合は、営業権は評価しないことに留意が必要です。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。