診療情報管理士の仕事内容

これまで診療情報管理士の資格について少し書きましたが、今回は診療情報管理士の仕事内容についてもう少し詳しくまとめてみます。

日本診療情報管理士会のホームページによると、診療情報管理士(HIM)とは、診療記録および診療情報を適切に管理し、そこに含まれる情報を活用することにより、医療の安全管理、質の向上および病院の経営管理に寄与する専門的な職業と紹介されています。

噛み砕いていうと、診療情報管理士は、カルテを整理して、医師に診療で必要な情報を分かりやすく提示する、等といった仕事をします。

具体的には、ある患者が来院した際に、その患者が過去にどのような診察を受けたか、過去の診察で付いた病名、治療内容、薬の処方内容を一目瞭然にすることで、医師の次回診察の正確さの向上とスピードアップに貢献するといった役割を果たします。

また、カルテの保管、病名のコーディング、所在確認・把握・破棄等、カルテの保存や活用に関わる業務も担当します。

病名のコーディングに関連して、カルテのデータベース化も診療情報管理士の重要な業務です。

カルテにある病名をWHOの定める国際疾病分類基準(ICD)に基づいてコーディングして分類・登録し、データベースから医師がカルテを参照できるようにする業務です。

この作業は診療群分類で支払が決定する包括医療費支払い制度方式(DPC)の運用に不可欠です。

また、カルテからがんの種類をコーディングし、国や都道府県が管理するがん登録につながる情報の作成に寄与することにもあります。

このように、診療情報管理士は、医療機関内でのカルテの司書といった存在です。

図書館の司書は、図書館にある膨大な資料と利用者を繋げる橋渡し的な存在と言われますが、診療情報管理士に置き換えると、医療機関内にあるカルテと医師を繋げる橋渡し的な存在と言えるでしょう。

ですので、病院機能評価の基準では、退院患者2000名につき1名の診療情報管理士の配置が望ましいとされています。

また、昨日書いた診療報酬明細書の「90入院」において、診療録管理体制加算を請求するための施設基準として、専任の診療記録管理者の配置が求められています。

診療情報管理士は、基礎課程・専門課程各1年(計2年)の通信教育、または、指定校の大学・専門学校の通学を経て、認定試験と呼ばれる試験に合格して、資格が得られます。

認定試験も基礎分野と専門分野に分けて試験があり、その合計点で合否が決まります。

ただし、以下の医療系資格を保有する場合、通信教育の基礎課程(1年)を省略して、専門課程(1年)への編入資格が得られ(つまり1年だけ通信教育を受講すればよい)、また、認定試験も基礎分野は免除されます。

医師、歯科医師、看護師(保健師、助産師)、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師

上記の医療系資格を保有していなければ、診療情報管理士の資格を取るまでに2年半の長丁場になりますが、文系・理系を問わず取得できるので、やりがいのある試験だと思います。

ご興味を持たれた方は、是非、挑戦してみてください。