贈与税(非課税財産)

前回は贈与税について贈与税と相続税との違いおよび課税財産についてまとめてきましたが、今回は贈与税の非課税財産について書いていきます。

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、財産の性質や贈与の目的などからみて、以下については贈与税がかかりません。

1.法人からの贈与により取得した財産

贈与税は個人から財産を贈与により取得した場合にかかる税金であり、法人から財産を贈与により取得した場合には贈与税ではなく所得税がかかります。

2.夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要なもの(いわゆる仕送り)

ここで生活費とは通常の日常生活に必要な費用、教育費とは学費・教材費等をいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充当するものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、預金として貯めている場合や株式・不動産等の買入資金としている場合には贈与税がかかるので、注意が必要です。

3.宗教、慈善、学術その他の公益目的の事業を行う一定の者が取得した財産で、公益目的とする事業での使用が確実なもの

4.奨学金支給目的や財務大臣指定の特定公益信託から交付される金品で一定の要件に該当

5.地方公共団体の条例で、精神や身体に障害のある人または扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

6.公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの

7.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
国内に居住する特定障害者(特別障害者または特別障害者以外で精神上の障害により一定の要件の該当者)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を取得した場合は、信託時に「障害者非課税信託申告書」を信託会社等の営業所経由で特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までは贈与税がかかりません。

8.個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

9.直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定要件を満たすとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

10.直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

11.直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

12.相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産(相続税の対象)

なお、相続財産を取得しなかった人が、相続があった同年中に被相続人から贈与により取得した財産は、相続税ではなく贈与税の対象となりますので注意が必要です。

次回も贈与税について触れていきます。