障害福祉サービスの利用者負担

前回まで障害福祉サービスの内容について詳しく述べましたが、今回は障害福祉サービスの利用者負担について書きます。

障害福祉サービス利用者の負担軽減のため、自己負担上限月額の設定、医療型個別減免、高額障害福祉サービス等給付費支給、特定障害者特別給付費(補足給付)などの制度があります。

まず、自己負担上限月額の設定は以下のようになります。

障害福祉サービスの利用者負担は、最大でサービス利用料の1割とされています。しかし、1割でも過重な負担となる可能性があるため、さらに世帯の所得に応じて自己負担上限月額が設定され、それ以上の負担は生じないようになっています。

世帯の所得については、①生活保護(生活保護受給世帯)、②低所得(市町村民税非課税世帯)、③一般1(市町村民税課税世帯で収入が概ね600万円以下の世帯)、④一般2(それ以外)の4つに区分されています。①生活保護と②低所得の自己負担額はなく、④一般2でも上限は37,200円となっています。

また、世帯の所得とは、18歳以上の障害者は障害者本人と配偶者、18歳未満(施設入所の18~19歳を含む)の障害児は保護者の属する住民基本台帳での世帯における所得を言います。

次に医療型個別減免は以下のようになります。

医療型障害児入所施設や療養介護を利用する方は、医療型個別減免を受けられます。福祉サービス費の利用者負担額・医療費・食事療養費を合算して利用者負担等の上限額が設定され、それ以上は減免されます。

障害基礎年金等の収入額からその他生活費として、障害基礎年金1級受給者・60~64歳の方・65歳以上で療養介護を利用する方は28,000円、20歳以上で左記に該当しない方は25,000円が手元に残るように、利用者負担等の減免額が算定されます。具体的には、障害基礎年金等の収入額から左記の手元金額を控除し、その差額よりも福祉サービス費の利用者負担額・医療費・食事療養費の合算額が多い場合、その超過額が減免されます。

20歳未満の世帯では、地域で子供を養育する世帯の負担額(所得に応じて50,000円または79,000円)から、その他生活費として18歳以上は25,000円、18歳未満は34,000円が手元に残るように、利用者負担等の減免額が算定されます。

さらに、高額障害福祉サービス等給付費支給は以下のようになります。

障害者の場合、障害者と配偶者の世帯で、障害福祉サービスの負担額(介護保険もあわせて利用の場合は介護保険負担額含む)の合算額が基準額を超えるケースは、その超過額は高額障害福祉サービス等給付費として支給されます。また、障害児の場合、障害者総合支援法に基づくサービス、児童福祉法に基づく障害児通所支援・障害児入所支援のうちいずれか2以上のサービスを利用しているケースも同様に超過額が支給されます。支給は償還払いの方法によります。

最後に特定障害者特別給付費(補足給付)などは以下のようになります。

基準該当施設等を利用する場合、食費・光熱費等の軽減措置として特定障害者特別給付費(補足給付)を受けられます。

基準該当施設等が入所施設の場合、食費・光熱費等の実費負担をしても、就労等により得た収入から少なくとも手元に25,000円(障害基礎年金1級受給者は28,000円)が残るように不足額について補足給付が行われます。

なお、就労等により得た収入については、24,000円までは収入として認定せず、24,000円を超える場合でも超過額の30%は収入として認定しません。

基準該当施設等が通所施設の場合、低所得・一般1は食材料費のみの負担となりますが、実際額のおおよそ3分の1の負担となるように軽減されます。

利用者が20歳未満の場合、20歳以上の利用者とは算定方法は異なりますが、同様に軽減措置が受けられます。

グループホーム(重度障害者等包括支援の一環での提供含む)の利用者で、生活保護・低所得の方が負担する家賃を対象として、利用者1人当たり月額1万円を上限に補足給付が行われます。

上記のような負担軽減策を講じても、障害福祉サービスの自己負担額や食費等実費の負担により生活保護の対象となる場合は、生活保護の対象とならない額まで自己負担上限月額や食費等実費負担額を引き下げます。

支給方法としては以下のようになります。

市町村は、障害福祉サービスの利用者自己負担額を控除した差額を、介護給付費または訓練等給付費として支給します。障害福祉サービスの利用者自己負担額を控除した差額については、法定代理受領制度を利用すれば、障害者ではなく事業者に直接支給されます。障害者が一旦、障害福祉サービス利用料全額を市町村に払い、自己負担額との差額を市町村に請求(償還払い)するのでは、障害者にも事業者にも大きな負担となるため、法定代理受領制度の利用が認められています。しかし、高額障害福祉サービス等給付費のように、支給は償還払いの方法に限定されているものもあります。なお、法定代理受領制度では、市町村の委託を受けて国民健康保険団体連合会が事業者への支給等の手続を行っております。

障害者・障害児にとって過度の経済的な負担にならないように、様々な経済的な支援がありますね。

ここまで医療・介護・福祉について、自分自身の復習も兼ねて思いつくままにまとめてみました。なお、これらの記載に関する参考文献は、厚生労働省のホームページにある資料を参考にしました。