これまで、地域包括ケアシステムや2025年問題について少し触れたのですが、今回はこれらに関連するフレイルについて少し詳しくまとめてみます。
フレイルというカタカナ言葉を初めて来たとき、乗り物の関連する言葉と思いましたが、実はこれ、医療・介護に関連する言葉です。
フレイルとは、老化に伴い身体の心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、健康障害を起こしやすいが、適切な介入・支援があれば生活機能を維持向上できる状態のことです。つまり健常な状態と要介護の状態の中間的な状態で、日頃の生活習慣次第で、要介護に移行することも、健常な状態に戻ることも可能な状態といえます。
フレイルには身体的フレイル・精神心理的フレイル・社会的フレイルがあり、中でも身体的フレイルはサルコペニアやロコモの影響を大きく受けることが知られています。
ここで、身体的フレイルは体力的な面が衰えてきた状態、精神心理的フレイルは認知症診断以前の認知面の衰えや躁うつ・無力症等の状態、社会的フレイルは独居や外出頻度の減少等の社会的な関りが減少している状態を言います。
似たような概念で、前述のロコモティブシンドローム(ロコモ)やサルコペニアというものがあります。
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害により移動機能の低下をきたし、進行すると介護が必要になるリスクが高くなる状態のことをいいます。運動器は、骨・関節・筋肉・神経を含めたもので、体を動かすために必要な器官のことを指します。運動器に障害が起きると関節の痛みや制限で筋力が低下し、バランス能力が低下します。その結果、歩行能力が低下し、日常生活が制限されます。
サルコペニアは、老化で筋量が進行性かつ全身性に減少する病態のことを言います。筋量の低下とともに筋力または歩行速度の低下を伴います。サルコペニアになると、要介護状態、転倒・骨折、死のリスクが高まります。
フレイル→ロコモティブシンドローム→サルコペニアの順に狭い概念になります。
最近では、フレイルは口腔機能の低下から進行するという報告もあります。
つまり、噛む力が衰え、柔らかいもの等、食べるものが限定されていき、栄養面から筋力が低下してフレイルになっていくというものです。
フレイルの基準は、さまざまあるようですが、次の基準がよく用いられ、3項目以上該当するとフレイルだそうです。
- 体重減少(意図しない年間5kgまたは5%以上の体重減少)
- 疲れやすい(何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる)
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
フレイルの状態に家族・周囲の人や医療関係者が早く気付き対応すれば、フレイルから健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。
地域包括ケアシステムや2025年問題も、フレイルの状態でどのようなサポートをするかで、状況の深刻度が左右されていきます。
深刻な状況にならないためにも、身近な高齢者が、フレイルの状態に陥っていないか、生活習慣等を改善していく必要はないかを常に意識することが必要になってきます。
身近な高齢者を常に温かく見守って、地域に住む全員が健康で楽しく暮らせるように社会になるといいですね!