オンライン診察

前回、オンライン診察について少し触れたので、今回はオンライン診察について少し詳しくまとめてみます。

オンライン診療とは、リアルタイムでのコミュニケーションが可能なオンラインシステムなどの通信技術(インターネット等)を用いた診療方法のことを言います。オンライン診療は、2018年の診療報酬改定で新設され、一定の要件の下でオンライン通話(ビデオ通話)を用いた診察方法が認められました。

オンライン診療により、患者の通院負担の減少による治療継続率の向上、通院サポートをしている方(家族等)の負担軽減、待合室で他の患者と出会わないことによる院内感染の防止、などの利点が挙げられます。

医療の確保が困難なへき地や頻繁な通院が困難な患者にとっては、ありがたい話です。

しかし、オンライン通話では患者の全身状況(例えば肌の色合等)等がはっきりと分からないといった問題点があります。さらに言うと、オンライン診療を全面的に認め、それだけで完結させると、大事な視点を見落とし、医療過誤等になってしまう可能性も否定できません。ですので、一定の要件を満たす場合のみオンライン診療が認められることとなりました。

一定の要件のうち、大原則は対面診療をベースとすることです。その上で、項目毎に様々な要件が付されています。

オンライン診療とされる項目は、「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料」「精神科在宅患者支援管理料 精神科オンライン在宅管理料」があります。オンライン診療料が月1回70点、オンライン医学管理料など他の3つが月1回100点を保険診療の診療報酬として請求できます。

オンライン診療料の要件は、初診から6カ月以上が経過した患者が算定対象でこの間は毎月同一の医師が対面診療を行っていること、緊急時に概ね30分以内に診察可能な体制があること(てんかん指導料等の対象患者は除く)、1カ月あたりの再診料とオンライン診療料の合計算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること、などとされています。

また、オンライン医学管理料の要件は、特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料などの医学管理を継続的に行っている患者に、療養計画に基づき対面診療とオンライン診療を組み合わせた管理を行った場合に、所定の管理料に加えて算定できるとされています。

これら見ていくと、オンライン診察は、対面診療を全面的に置き換えるものではなく、対面診療と適切に組み合わせることでケアの質を高めたり、受診のハードルを下げたりする役割を担っていると考えたほうがよいでしょう。

前回述べましたが、医療の確保が困難なへき地の患者にとっては、AI導入による診療やオンライン診察・遠隔手術技術(手術支援ロボットなど)の活用により、地域偏在による医師不足の解消が期待されています。

医療の分野に関わらず、人手不足解消や働き方改革は、ICTやロボットに依存する部分が大きいと言えます。

単純作業や反復作業はICTやロボットが、例外事項や特殊事項だけを医療従事者でカバーする体制の構築で、医療の質を確保した上で、医療の需要と供給のバランスが取れる社会になることを切に願います!