前回は、介護保険制度について少し触れたので、今回は要介護認定について少し詳しくまとめてみます。
前回、介護保険制度のサービスは、市町村から要介護または要支援の認定を受けた方のみ受けることができると書きました。
ここでいう要介護または要支援の状態とはどのような状態でしょうか?
まずは、軽度な方の要支援から見てみましょう。
要支援とは、社会的な支援が必要な状態だが現在は介護の必要はなく、将来に備えて心身機能の維持・改善の支援をする状態を言います。
要支援は、要支援状態の程度に応じて、要支援1と要支援2の2段階に分けられます。
次に、要介護とは、心身上の障害があり、日常生活の基本動作について、現在時点で介護サービスが必要な状態を言います。
要介護は、要介護状態の程度に応じて、要介護1~5の5段階に分けられます。
要支援状態と要介護状態の各段階は、要介護認定という過程を経て、決定されます。
要介護認定には、1次判定と2次判定があります。
1次判定は、市町村職員が聞き取り調査をし、要介護認定等基準時間(1日当たりの介護が必要な時間)や認知症の状態等を記載した調査票などに基づき、コンピューターで判定します。
2次判定は、1次判定の結果や医師の主治医意見書等に基づき、市町村の有識者・専門家等により構成される介護認定審査会で判定します。
介護保険の申請から要介護認定の通知まで、原則として30日以内に行われます。
では、要支援1・2と要介護1~5とはどのような状態でしょうか?
市町村職員の調査結果や医師の主治医意見書等で実質的に判定されますが、目安として以下のような状態を言います。
まず、一番程度が軽い要支援1は、例えば、食事や排せつは自力でできるが立ち上がる時に手助けが必要といったような、部分的な介助を必要としながらも基本的には独力で生活できる状態を言います。要介護認定等基準時間は25~32分未満の状態です。
要支援2とは、基本的には独力で生活できるが、日常生活動作にやや衰えが見られる状態を言います。1次判定で要介護1相当とされた方の中で、心身の不安定度や認知機能の程度が重くないと判定された方が要支援2となります。要介護認定等基準時間は32~50分未満の状態です。
次に要介護1~5の状態です。
要介護1とは、歩行が不安定で、食事や排せつなどの生活動作に部分的な介助が必要である状態を言います。1次判定で要介護1相当とされた方の中で、心身が不安定であったり、認知機能の程度が重い判定された方が要介護1となります。要介護認定等基準時間は要支援2と同様、32~50分未満の状態です。
要介護2とは、歩行が不安定で、食事や排せつなどの生活動作に軽度の介助が必要である状態を言います。要介護認定等基準時間は50~70分未満で、1日に1~2回は介護サービスが必要な状態です。
要介護3とは、立ち上がりや歩行、食事、排せつ、入浴の際に全面的な介助が必要である状態を言います。要介護認定等基準時間は70~90分未満で、1日に2回は介護サービスが必要な状態です。
要介護4とは、食事、排せつ、入浴といった日常生活全般において全面的な介助が必要である状態を言います。要介護認定等基準時間は90~110分未満で、1日に2~3回は介護サービスが必要な状態です。
要介護5とは、日常生活全般において全面的な介助が必要であり、加えて完全に寝たきりで普段の意思の疎通も困難な状態です。要介護認定等基準時間は110分以上で、日常生活に必要な全般的能力が著しく低下し、1日に3~4回は介護サービスが必要な状態です。
なお、身体に不自由がなく、介護や身の回りの支援を必要としないと判断された方は、非該当(自立)となり、介護保険サービスを利用することはできません。
要支援度・要介護度により、介護保険制度の月額支給限度額や受けられる介護保険制度のサービスも変わってくるため、形式的でなく、各人ごとに個別判断されます。
超高齢化社会に突入し、要介護認定の件数や介護保険受給者の数もさらに増加するでしょう。
市町村の財政面や人的な負担も大きいでしょうが、高齢者のよりよい老後のために、サービスを必要とする方すべてに適切なサービスが行きわたる社会になって欲しいものです。