前回、介護サービスと障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスが提供された場合、原則として介護保険が優先適用される点について少し触れましたが、今回は介護サービスと障害福祉サービスの共生型サービスについて少し詳しくまとめてみます。
共生型サービスとは、障害福祉サービスを利用してきた利用者が高齢者となり介護保険制度の対象となった場合、継続して同じ事業者からサービスを受けられる仕組みのことを言います。
共生型サービスは、利用者側からすると使い慣れた施設でサービス提供が継続的に受けられると言う利点が、サービス提供事業者側からすると介護保険と障害福祉の両方の指定が受けやすくなり(指定の特例)、また引き続き同じ利用者を同じ職員が対応する等で人員面やオペレーション面で効率的なサービス提供を行えると言う利点があります。
共生型サービスは、障害福祉サービスと介護サービスとで相互に共通性のあるサービスが提供されることとなります。そのため、共生型サービスで提供されるサービスは主にホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ、その他サービスに分類されます。
具体的には、ホームヘルプサービスは介護サービスの訪問介護と障害福祉サービスの居宅介護・重度訪問介護、デイサービスは介護サービスの通所介護と障害福祉サービスの生活介護、ショートステイは介護サービスの短期入所生活介護と障害福祉サービスの短期入所、その他サービスは小規模多機能型居宅介護が関連しています。
共生型サービスを利用する対象者は、介護サービスの対象となる前から障害福祉サービスを利用していた方になります。
例えば、訪問介護は障害福祉サービスの居宅介護・重度訪問介護等を、通所介護は障害福祉サービスの生活介護等を、短期入所生活介護は障害福祉サービスの短期入所を利用していた方などが対象となります。
共生型サービスは、サービス提供事業者が介護サービス事業者と障害福祉サービス事業者の両方の指定を受けていることが前提となりますが、介護保険施設と障害福祉施設とでは求められる基準が異なるため、一方の基準を満たしても、他方の基準に不足している場合も考えられます。具体的には以下の3パターンが考えられます。
①介護保険施設、障害福祉施設の基準をどちらも満たす場合
②介護保険施設、障害福祉施設のいずれかの基準を満たさない場合でも、満たしていない方のサービスの質や専門性を一定程度備えている場合
③介護保険施設、障害福祉施設のいずれかの基準のみ満たす場合
このうち①の場合は、共生型サービスⅠとされ、介護保険、障害福祉の制度から通常通りの報酬が受けられます。
②・③の場合は、共生型サービスⅡとされ、共生型サービスの報酬を受け取れるものの減額された金額となります。ただし、サービス責任者の常勤配置等で加算が取れる場合もあります。
このように、介護保険サービスと障害者サービスとでは報酬体系が異なり、共生型サービス報酬の減額などもあることから、サービス提供事業所の事務作業が煩雑化する可能性がある点がデメリットとして挙げられます。
また、共生型サービスにおいては、障害福祉サービスは相談支援専門員が、介護サービスはケアマネージャーがそれぞれプランを作成するので、相談支援専門員とケアマネージャーとの連携・情報共有が重要になってきます。
介護と障害福祉は対象年齢が違うだけで、同じようなサービス提供が必要な場合が多いと言えます。双方の対象者は、切れ目のないシームレスなサービス提供を望んでいると思うので、共生型サービスで一定の配慮がなされていると言えますね!