これまで介護サービス提供を中心に介護保険が適用される場合について触れましたが、今回は資産の購入・貸与で介護保険が適用される場合について少し詳しくまとめてみます。
介護保険が適用される福祉用具とは、介護が必要な高齢者の日常生活のサポートや機能訓練のために必要な用具のことを言います。
まず、要介護者が、車いす(付属品含む)・特殊寝台(付属品含む)・床ずれ防止用具・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖等の福祉用具を貸与(レンタル)した場合、その代金に介護保険が適用されます。これを福祉用具貸与と言います。
要支援者も福祉用具の貸与(介護予防福祉用具貸与)が受けられますが、一部の福祉用具の貸与は制限されています(要介護1の方も同様で、用具により要介護2・3の方も制限される場合あり)。車いす等は要支援者等の軽度者の利用が想定されていないからです。
福祉用具貸与の利用者は原則として貸与価格の1割を負担します(一定以上の所得者の場合は2割または3割負担)。しかし、介護保険適用の上限額が決まっており、上限額は全国平均貸与価格を加味して決定されます。
一方、要介護者が、腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす等)・簡易浴槽・移動用リフトのつり具の部分の福祉用具を購入した場合、その代金に介護保険が適用されます。これを特定福祉用具販売と言います。
要支援者も、要介護者と同様に、福祉用具を購入(特定介護予防福祉用具販売)ができます。
特定福祉用具販売の利用者も原則として購入価格の1割を負担します(一定以上の所得者の場合は2割または3割負担)。要介護者が福祉用具を購入して全額支払い、後から保険申請して差額が返金される仕組みです。しかし、介護保険適用の上限額が決まっており、年間10万円までです。
なお、福祉用具貸与・販売事業者となるためには、福祉用具の知識を持った福祉用具専門相談員を配置する等の要件を満たした上で、都道府県から許可を得る必要があります。また、福祉用具貸与・販売事業者は、福祉用具貸与・販売の際、福祉用具サービス計画書をケアマネージャーに交付する必要があります。
次に、手すりの取付け・段差の解消・洋式便器等への便器の取替え等の住宅改修についても、介護保険が適用されます。
このような住宅改修は利用者が原則として工事代金の1割を負担します(一定以上の所得者の場合は2割または3割負担)。特定福祉用具販売と同様、利用者が全額支払い、後から保険申請して差額が返金される仕組みです。しかし、介護保険適用の上限額は20万円までです。
住宅改修が介護保険適用の対象になるためには、①利用者がケアマネージャーに住宅改修を相談、②ケアマネージャーが利用者・施工業者と打合せ後、ケアマネージャーが理由書作成、③市町村に事前申請し審査、④住宅改修の着工・完成、⑤市町村に住宅改修費用の支給申請、⑥市町村の確認後、住宅改修費用支給、という手順が必要です。
なお、住宅改修の事業者になるために、都道府県や市町村の指定などは必要ありません。
福祉用具貸与・販売や高齢者のためのバリアフリー化の住宅改修は、介護保険適用の対象者にとって、とてもありがたい制度ですので、対象者はできるだけ利用することが望ましいと言えます。