今回も、前回の続きで障害福祉サービスの内容(その4)について詳しくまとめていきます。
前回まで主に障害者の障害福祉サービスの内容について詳しく述べましたが、今回は障害児の障害福祉サービスの内容について書きます。また、これまで障害福祉サービスの内容でたびたび出てきた障害福祉サービス提供事業者の種類等についてもまとめていきます。
障害児に対する障害福祉サービスについては、障害者総合支援法に基づくサービスの一部についても提供を受けられますが、原則として児童福祉法に基づくサービスが提供されることとなります。
まず、障害児でも提供を受けられる障害者総合支援法に基づくサービスは、自立支援給付の居宅介護、同行支援、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所等です。
一方、児童福祉法に基づくサービスには、通所サービスと入所サービスに分けられます。
児童福祉法に基づくサービスのうち通所サービスは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援があります。
各サービスは、以下のような内容になります。
児童発達支援とは、未就学の障害児を対象に、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援の提供を行うことです。主に児童発達支援センターが中心となって提供していますが、児童発達支援事業所でもサービス提供を行っています。
医療型児童発達支援とは、肢体不自由があり、理学療法等の機能訓練や医療的管理下での支援が必要と認められた障害児を対象に、児童発達支援と同様、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援の提供に加え、治療等の医療サービスの提供を行うことです。
放課後等デイサービスとは、幼稚園及び大学以外の学校に就学している障害児を対象に、平日の授業終了後又は休校日に、生活能力向上のための必要な訓練、社会との交流促進、その他必要な支援の提供を行うことです。未就学児は児童発達支援、小学生以上の学齢期児童(必要性が認められれば満20歳まで)は放課後等デイサービスとサービス提供の区分けがなされています。効果的なサービス提供のため学校と連携する場合もあります。放課後等デイサービスは、療育手帳・障害者手帳がなくても、専門家等の意見書で必要性が認められれば利用できます。お世話される家族にもリフレッシュや休息が必要ですので、レスパイトケアとして利用する場合もあります。
保育所等訪問支援とは、保育所等の集団生活を行う施設での支援が必要な障害児を対象に、保育所等を訪問して障害児以外の児童との集団生活への適応に関する専門的な支援、その他必要な支援の提供を行うことです。障害児本人だけでなく、保育所等の職員に対しても支援を行うことがあります。保育所等訪問支援は、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用していても、利用することができます。
居宅訪問型児童発達支援とは、重症の障害等で通所サービスを利用することが著しく困難な障害児を対象に、居宅を訪問して日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与等の支援の提供を行うことです。重症の障害等により通所サービスの利用が著しく困難といった適正な対象者かどうかの判断は、指定障害児相談支援事業所が確認しております。
一方、児童福祉法に基づくサービスのうち入所サービスは、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設があります。
福祉型障害児入所施設とは、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のある障害児を対象に、入所通じて日常生活の指導や自立に必要な知識・技能の付与等を行う施設のことです。
医療型障害児入所施設とは、知的障害(自閉症児)・肢体不自由児・重症心身障害のある障害児を対象に、入所通じて日常生活の指導や自立に必要な知識・技能の付与等に加え、治療等の医療サービスの提供を行う施設のことです。
福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設いずれも、障害者手帳がなくても児童相談所・市町村保健センター・医師等により必要性が認められた場合も利用できます。また、必要と認められれば、満20歳まで利用することができます。
最後に、障害福祉サービス提供事業者の種類としては、①指定障害福祉サービス事業者、②指定障害者支援施設、③指定障害児通所支援事業者、④指定障害者入所施設、⑤指定障害児相談支援事業者、⑥指定特定相談支援事業者、⑦指定一般相談支援事業者があります。
上記のうち、①指定障害福祉サービス事業者はこれまで書いてきた介護給付や訓練等給付などのサービスを提供する事業者、②指定障害者支援施設は介護給付における施設入所支援などのサービスを提供する事業者です。あとの③~⑦はこれまでの説明の中にありますので割愛します。これらの施設は、サービス管理責任者を配置する等の指定基準等の要件をクリアして、都道府県知事から障害福祉サービス事業者としての指定がなされます。指定された事業者は6年毎に更新する必要があります。
一概に障害と言っても、障害の種別や状況は様々であるため、このような多種多様な障害福祉サービスや地方自治体等の事業を設けることで、障害者の方たちによりきめ細やかなフォローができるようになっているのですね。