前回は準確定申告についてまとめてみましたが、今回は相続時における遺産分割について書きます。
相続人が複数いるときは、相続財産は遺産分割まで相続人の共有になります(民法898条)。
特定の相続人が独断で相続財産全部の処分をすることはできません。
相続財産を各相続人の単独所有にするためには、遺産分割が必要です。
この場合、遺言があるケースは遺言に従って遺産分割しますが、遺言がないケースは相続人全員での遺産分割協議を行うこととなります。
原則として、相続が発生してから10ヶ月以内に相続税の申告・納税しなければならないため、それまでに遺産分割協議を終わらせる必要があります。
期限内に終わらない場合、延滞税等が発生しないようにするため、法定相続分で分割したと仮定した未分割の状態での申告・納税を行う必要があります。
この場合、相続税の節税策である配偶者控除や小規模宅地等の特例などは利用できませんので、一旦、高い税額で納付することになると思われます。
この場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する必要があり、提出後は3年以内に遺産分割を行い、改めて相続税の申告を行うこととなります。
この手続きを踏まえ、遺産分割後の納税額が少なかった場合は修正申告、多すぎた場合は更生の請求を行いますが、更生の請求は分割が行われた日の翌日から4か月以内に行わなければならない点に留意が必要です。
相続人間で遺産分割協議が調わない場合、まず家庭裁判所に調停を申立てることになります。
また、前述のように遺産分割は遺言が優先されますが、遺言で遺産分割を禁止しておらず、相続人全員の合意がある等のいくつかの要件を満たした場合、遺産分割協議により遺言とは異なる遺産分割も可能です。
遺産分割は相続開始の時に遡って効力を生じますので(民法909条)、遺産分割により相続人が取得した相続財産は相続開始時に直接承継されたことになります。