相続財産の評価(その2)

前回は相続財産の評価で預貯金、棚卸商品等、書画骨とう品についてまとめましたが、今回は金銭債権の評価について書いていきます。

金銭債権は、主に貸付金債権等と受取手形等があります。

まず、貸付金債権等ですが、貸付金・売掛金・未収入金・預貯金以外の預け金・仮払金等の価額は、原則として元本(返済されるべき金額)と既経過利息で評価します。

ただし、債権金額の全部または一部が回収不能または著しく困難と見込まれるときは、以下のような例外があります。

1つ目は、手形交換所の取引停止処分・会社更生法の更生手続開始決定・民事再生法の再生手続開始決定・会社法の特別清算開始命令・破産法の破産手続開始決定・業況不振や事業の重大な損失で事業を廃止または6か月以上休業があった場合、貸付金債権等の金額(担保部分を除く)で評価します。

2つ目は、更生計画認可決定・再生計画認可決定・特別清算に係る協定の認可決定・債権者集会の協議で債権の切捨て・棚上げ・年賦償還等の決定があった場合、当事者間の契約で債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等(金融機関のあっせん等で真正に成立したもの)があった場合、切り捨てられる債権額にくわえ、据置期間が決定後5年超の債権額または割賦弁済の相続開始5年経過後に弁済される債権額を加算して評価します。

次に、受取手形等ですが、受取手形またはこれに類するものは、支払期限到来または相続開始後6ヶ月経過までに支払期限到来の場合は券面額で、左記以外は相続開始時に金融機関で割引を行ったとした場合の回収可能額で評価します。

その他の金銭債権としては、以下のようなものがあります。

まず、未収法定果実ですが、既に収入すべき期限が到来したがまだ収入していない地代・家賃その他の賃貸料・貸付金の利息等の法定果実の価額は、収入すべき法定果実の金額で評価します。

次に、未収天然果実ですが、相続開始後3か月以内に収穫することが予想される果実・立毛等の天然果実は、天然果実が発生する財産とは別に、収穫時に予想される販売価額の100分の70の範囲内における相当額で評価します。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。