相続財産の評価(その3)

前回は相続財産の評価で金銭債権についてまとめましたが、今回は無体財産権(営業権除く)の評価について書いていきます。

無体財産権としては、主に特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権(著作隣接権含む)・出版権・電話加入権・営業権等がありますが、営業権以外について、以下、説明していきます。

まず、特許権・実用新案権・意匠権・商標権ですが、自ら特許等を発明した場合とそれ以外の場合で評価方法が異なります。

自ら特許等を発明した場合は、特許権等を個別に評価するのではなく、営業権の価額に含めて評価します。一方、それ以外の場合は、将来受ける補償金額を基準年利率による複利現価とした額の合計額によって評価します。後者は、将来の各年の補償金入金額を複利計算で相続時点まで割り戻した金額(複利現価)を合計して算出します。計算期間は、特許権等の法定の存続期間(特許権なら特許出願日から20年(特許法67条))の範囲内において推定した年数とします。ただし、将来受ける補償金額が確定していない場合は需要および持続性等を考慮した推定額で補償金額とし、補償金の見込額合計が50万円未満の場合は特許権等を評価しません。

次に、著作権(著作隣接権含む)ですが、原則として、年平均印税収入の額(相続の前年以前3年間の印税収入年平均額)×0.5×評価倍率の計算式により算出します。評価倍率は、著作物の精通者意見等に基づいて、印税収入期間に応じた基準年利率による複利年金現価率を用います。複利年金現価率は、国税庁が発表している複利表を利用します。

さらに、出版権ですが、出版業者の場合は、出版権を個別に評価するのではなく営業権の価額に含めて評価します。一方、その他の者の場合は、出版権は評価しません。

最後に、電話加入権ですが、取引相場の有無や特殊番号等かで評価方法が異なります。

取引相場のある電話加入権は、相続時点の通常の取引価額相当額で評価します。一方、取引相場のない電話加入権は、標準価額で評価します。国税庁は財産評価基準書で路線価等とともに電話加入権の標準価額を開示していますので、これを利用します。また、特殊番号等は、左記で評価した価額をベースに、売買実例価額、精通者意見価格等を考慮した価額で評価します。 営業権は長くなるので、次回で説明することとします。