相続財産の評価(その5)

前回は相続財産の評価で無体財産権の営業権についてまとめましたが、今回は公社債とゴルフ会員権の評価について書いていきます。

まず、公社債は、主に利付公社債と割引発行の公社債がありますので、区別して書きます。

利付公社債の方は、ベースとなる金額に3つのケースがあり、①金融商品取引所上場銘柄のケースは相続時点の最終価格、②日本証券業協会における売買参考統計値公表銘柄のケースは相続時点の平均値(ない場合は直近の平均値)、③左記以外のケースは発行価額になります。このベースとなる金額に源泉所得税控除後の既経過利息額を加算し、合計額に公社債券面額÷100円を乗じた金額でそれぞれ評価します。

割引発行の公社債の方は、こちらも同様にベースとなる金額に3つのケースがあり、①金融商品取引所上場銘柄のケースは相続時点の最終価格、②日本証券業協会における売買参考統計値公表銘柄のケースは相続時点の平均値、③左記以外のケースは発行価額に、券面額と発行価額の差額に発行日から相続時点までの日数÷発行日から償還期限までの日数の割合を乗じた金額を加算した金額になります。このベースとなる金額に源泉所得税控除後の既経過利息額を加算し、合計額に公社債券面額÷100円を乗じた金額でそれぞれ評価します。

次にゴルフ会員権ですが、株式所有不要・譲渡不可・返還不可の預託金等・単にプレーができるだけという要件をすべて満たす場合は評価しませんが、1つでも要件を満たさないものがある場合は評価します。

上記要件を満たさないゴルフ会員権を評価する場合、取引相場の有無で評価方法が異なります。

取引相場のある会員権ですが、原則として、通常の取引価格の70%相当額で評価します。ただし、取引価格に含まれない預託金等があるときは、A相続時点で返還可能な預託金等は返還可能額、B相続時点から一定期間経過後に返還可能な預託金等は返還可能額の相続時点からの日数に応ずる基準年利率の複利現価額になります。

取引相場のない会員権ですが、株主か預託金かで評価方法が異なります。

C株主の場合は財産評価基本通達に基づいて評価した株式価額、D株主かつ預託金制の場合は株式についてはCで預託金についてはAまたはBで評価した合計額、E預託金の場合はAまたはBで評価した金額でそれぞれ評価します。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。