相続財産の評価(その16)

前回は、相続財産の評価で土地の評価単位についてまとめましたが、今回は土地の評価単位のうち宅地の評価単位について詳細に書いていきます。

前回、宅地の評価単位は1画地の宅地と書きましたが、宅地上の他人の権利の有無等により、さらに細かく評価単位が定められております。

つまり、1画地の宅地は、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他人の権利(原則として使用貸借を除く)が存在するかにより区分し、②他人の権利が存在する場合は権利の種類および権利者ごとに区分を判定します。
以下で宅地の利用状況別に詳述します。

まず、①所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体が1画地の宅地となります。

次に、②所有する宅地の一部に普通借地権または定期借地権等を設定し、他の部分を自己が使用している場合はそれぞれの部分が1画地の宅地となります。一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用しているような場合も同様です。③所有する宅地の一部について普通借地権または定期借地権等を設定し、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合はそれぞれの部分が1画地の宅地となります。④普通借地権または定期借地権等の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分それぞれが1画地の宅地となります。

また、⑤貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として各棟の敷地それぞれが1画地の宅地となります。⑥2人以上から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、借主の普通借地権または定期借地権等の評価に当たっては、その全体を1画地として評価します。この場合、貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、それぞれが1画地の宅地として評価します。

最後に、⑦共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、その全体を1画地の宅地として評価します。⑧所有する宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価します。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価します。

なお、使用貸借について、土地の借受者と所有者との間に借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは使用貸借に該当し、当該土地の借受けについて地代の授受がなくても権利金その他地代に代わるべき経済的利益の授受のある場合は使用貸借に該当しないとされています。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。