相続財産の評価(その18)

前回は、相続財産の評価で土地の評価のうち宅地の評価方法についてまとめましたが、今回は宅地の評価方法(路線価方式)について書いていきます。

前回、路線価方式は、宅地の面する路線に付された路線価をベースに一定の方法により計算した金額で評価する方式と書きましたが、今回は、この一定の方法について詳述していきます。

この一定の方法は、①一方のみが路線に接する宅地、②正面と側方または裏面に路線がある宅地、③三方又は四方に路線がある宅地、④不整形値、⑤間口が狭小、奥行が長大な宅地、⑥地積規模の大きな宅地、⑦無道路地、⑧がけ地等を有する宅地、⑨容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地、のそれぞれのケースに場合分けして説明します。

上記①一方のみが路線に接する宅地の場合、路線価に宅地の奥行距離に応じた奥行価格補正率と地積を乗じた価額(A)によって評価します。

上記②正面と側方または裏面に路線がある宅地の価額は、側方路線または裏面路線(正面路線以外の路線)の路線価に奥行価格補正率・側方路線影響加算率表または二方路線影響加算率表を乗じて計算した価額+正面路線Aの価額に地積を乗じた価額(B)で評価します。

上記③三方又は四方に路線がある宅地の価額は、①一方のみが路線に接する宅地Aの方法に、側方または裏面に路線がある宅地Bの方法を併用して計算した価額に地積を乗じた価額(C)で評価します。

上記④不整形値は、上記A~Cの価額に不整形地補正率を乗じた価額(D)で評価します。不整形地補正率は、宅地の地区区分・地積区分・かげ地割合により割合が決まっております。ここでかげ地割合とは、想定整形地の地積を分母に、想定整形地の地積から不整形地の地積を控除した地積を分子にして算出します。

上記⑤間口が狭小、奥行が長大な宅地は、上記A~Cの価額に間口狭小補正率表や奥行長大補正率表を乗じた価額(E)で評価します。

上記⑥地積規模の大きな宅地(三大都市圏500 以上、それ以外1,000 以上の地積)は、上記A~Eの価額に規模格差補正率を乗じた価額(F)で評価します。

上記⑦無道路地は、原則として、上記E・Fの価額からその価額の40%の金額を控除した価額(G)で評価します。

上記⑧がけ地等を有する宅地は、上記A~Gの価額にがけ地補正率を乗じた価額(H)で評価します。

上記⑨容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地は、上記A~Hの価額から(1-容積率の異なる部分の各部分に適用される容積率にその各部分の地積を乗じて計算した数値の合計÷正面路線に接する部分の容積率×宅地の総地積)×容積率が価額に及ぼす影響度の割合を乗じた金額を控除した価額(I)で評価します。

次回以降も相続財産の評価について触れていきます。