相続財産の評価(その20)

前回までは、相続財産の評価で宅地の評価方法についてまとめましたが、今回は通常の借地権の評価方法について書いていきます。

相続財産において、貸宅地(被相続人が貸手)の場合と借地権(被相続人が借手)の場合が考えられますが、今回は借地権(被相続人が借手)の場合に絞って書きます。

借地権は、権利金等を支払う取引慣行がある地域とない地域で評価が異なります。

権利金等を支払う取引慣行がある地域おいて、借地権は、宅地の自用地としての価額に借地権割合(売買実例価額、精通者意見価格等をベースとした借地権価額の割合)を乗じた金額で評価します。

また、権利金等の支払の代わりに、相当の地代(土地の自用地としての価額に対しておおむね年6%程度の地代)を支払っている場合は、借地権は評価しません(相当の地代を支払っていない場合でも貸主・借主の一方(または両方)が法人で土地の無償返還届出書を提出した場合も同様)。

さらに、使用貸借による土地の借受けの場合も評価しません。ここで使用貸借とは、例えば、土地の借受者と所有者との間に土地の公租公課相当以下の金額の授受しかない場合が該当しますが、地代の授受がなくても権利金等の授受がある場合は該当しません。

なお、上記以外は自用地としての価額や借地権割合等を加味して、借地権の価額を計算します(算式:自用地としての価額× 借地権割合 × (1 – (実際地代(年額) – 通常地代(年額)) / (相当地代(年額)–通常地代(年額))。

一方、権利金等を支払う取引慣行がない地域では、借地権は評価しません。

今回は短かったですが、次回以降も相続財産の評価について触れていきます。