前回は事業承継税制の法人版事業承継税制の一般措置と特例措置についてまとめましたが、今回は法人版事業承継税制の贈与税に係る納税猶予・免除制度について書いていきます。
法人版事業承継税制の贈与税の納税猶予および免除(特例措置)ですが、一連の流れとして、①特例承継計画の策定・提出・確認→②贈与→③贈与税の申告期限までの間→④贈与税の申告期限→⑤納税猶予期間中→⑥先代経営者等(贈与者)の死亡等があります。
今回は、①特例承継計画の策定・提出・確認→②贈与までの流れを説明します。
まず、①特例承継計画の策定・提出・確認ですが、会社の後継者や承継時までの経営見通等を記載した「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会、商工会議所等)の所見を記載の上、令和5年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要があります。なお、「特例承継計画」は、贈与後でも円滑化法の認定申請時までは特例承継計画を提出することが可能です。
次に②贈与ですが、この制度の適用を受けるためには、先代経営者等である贈与者から、全部または一定数以上の非上場株式等の贈与を受ける必要があります。
ここで、一定数以上の非上場株式等の贈与(非上場株式等の取得株数要件(特例措置))に関して、後継者は次の⑴又は⑵の区分に応じた一定数以上の非上場株式等を取得する必要があります。
次の(a)または(b)の区分に応じた株数
(a)A≧B×2/3-Cの場合:「B×2/3-C」以上の株数
(b)A<B×2/3-Cの場合:「A」の全ての株数
次の全てを満たす株数
(a)D≧B×1/10
(b)D>贈与後における先代経営者等の有する会社の非上場株式等の数
A:贈与の直前において先代経営者等が有していた会社の非上場株式等の数
B:贈与の直前の会社の発行済株式等の総数
C:後継者が贈与の直前において有していた会社の非上場株式等の数
D:贈与後における後継者の有する会社の非上場株式等の数
なお、「発行済株式等」は、議決権に制限のないものに限ります。
次回も事業承継税制について触れていきます。