事業承継税制(法人版事業承継税制#13)

前回は事業承継税制の法人版事業承継税制の先代経営者等(贈与者)が死亡した場合の取扱いの④納税猶予期間中についてまとめましたが、今回は先代経営者等(贈与者)が死亡した場合の取扱いの⑤後継者の死亡等について書いていきます。

上記の⑤後継者の死亡等は「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除」と同様ですが、確認のため、再掲いたします。

後継者の死亡等については、免除届出書・免除申請書の提出に留意する必要があります。

後継者の死亡等があった場合、免除届出書・免除申請書を提出することで、死亡等の際における納税猶予されている相続税の全部または一部について納付免除されます。

納税猶予されている相続税の納付免除される主な場合として、(a) 後継者が死亡した場合、(b)(特例)経営承継期間内に、やむを得ない理由により会社の代表権を有しなくなった日以後に免除対象贈与を行った場合、(c)(特例)経営承継期間経過後に免除対象贈与を行った場合、(d)(特例)経営承継期間経過後に会社において破産手続開始決定などがあった場合、(e) 特例経営承継期間経過後に事業継続困難な一定事由が生じて会社の譲渡・解散した場合、が挙げられます。

ここで、上記(b)の「やむを得ない理由」とは、[1]精神保健および精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳(障害等級が1級)の交付を受けたこと、[2]身体障害者福祉法の規定により身体障害者手帳(身体上の障害の程度が1級または2級)の交付を受けたこと、[3]介護保険法の規定による要介護認定(要介護状態区分が要介護度5)を受けたこと、[4]上記[1]から[3]までに掲げる事由に類すると認められること、のいずれかに該当する状態になったことをいいます。

また、上記(e)の「事業継続困難な一定事由」が生じた場合の納税猶予額の免除(特例措置)ですが、特例経営(贈与)承継期間の経過後に、事業継続困難な一定事由が生じた場合で、特例措置適用に係る非上場株式等の譲渡等をした場合、対価額(譲渡等の時の相続税評価額50%が下限)を基に相続(贈与)税額等を再計算し、再計算した税額と直前配当等の金額との合計額が当初の納税猶予税額を下回る場合には、差額が免除されます(再計算した税額は納付)。このうち上記「事業継続困難な一定事由」とは、①過去3年間のうち2年以上赤字等、②過去3年間のうち2年以上売上減等、③有利子負債≧売上の6か月分、④類似業種の上場企業の株価が前年株価を下回、⑤心身の故障等により後継者による事業継続が困難(譲渡・合併のみ)、というような場合を言います。同じく上記「譲渡等の時の相続税評価額50%が下限」となる場合とは、譲渡等から2年後に譲渡等の時の雇用の半数以上が維持されている場合は、実際の対価額に基づく税額との差額は免除されます。

今回で法人版事業承継税制は終了で、次回から個人版事業承継税制について触れていきます。