前回は事業承継税制の個人版事業承継税制の贈与税に係る納税猶予・免除制度における①個人事業承継計画の策定・提出・確認→②贈与までの流れについてまとめましたが、今回は個人版事業承継税制の贈与税に係る納税猶予・免除制度における③贈与税の申告期限までの間→④贈与税の申告期限について書いていきます。
上記の③贈与税の申告期限までの間について、(A) 後継者(受贈者)、(B) 先代事業者等(贈与者)の要件を充足している場合、都道府県知事に「円滑化法の認定」を受ける必要があります。あわせて、事業承継後、一定期限までに、開業届出書の提出・青色申告の承認を受け、贈与税の申告期限までに、制度適用に関する贈与税申告書と一定書類を税務署へ提出するとともに、納税猶予の贈与税額および利子税額に見合う担保を提供する必要があります。
上記(A)・(B)における、この制度の適用を受けるための要件としては、以下が挙げられます。
まず、(A) 後継者(受贈者)の要件として、主に贈与時において、(a) 20歳以上(令和4年4月1日以降の贈与は18歳以上)、(b) 円滑化法の認定、(c)継続して3年以上、特定事業用資産に係る事業(同種・類似の事業等含む)に従事、(d)贈与税申告期限までに開業届出書提出・青色申告承認、(e)特定事業用資産に係る事業が資産管理事業・性風俗関連特殊営業でない、が挙げられます。
次に(B)先代経営者等(贈与者) の要件として、主に、[贈与者が先代事業者の場合](a) 廃業届出書の提出または贈与税申告期限までに提出見込、(b)贈与年、前年および前々年の確定申告書を青色申告書により提出、[贈与者が先代事業者以外の場合] (a’)先代事業者の贈与・相続開始直前に先代事業者と生計一親族、(b’)先代事業者からの贈与・相続後に特定事業用資産の贈与(先代事業者からの贈与・相続開始日から1年経過日までの贈与)、が挙げられます。
上記の「円滑化法の認定」を受けるためには、贈与年の翌年1月15日までに申請を行う必要があります。また、「開業届出書」は事業開始日(贈与日)から1ヶ月以内に税務署に提出、「青色申告承認」は業務開始日(贈与日)から2ヶ月以内に税務署長に申請、を行う必要があります。なお、後継者が贈与前から他業務を行っている場合は、青色申告する年の3月15日までに申請を行うことが必要です。さらに、「資産管理事業」とは、有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金等の特定資産保有割合が特定事業用資産の事業に係る総資産総額の70%以上となる事業(資産保有型事業)や特定資産からの運用収入が特定事業用資産に係る事業の総収入金額の75%以上となる事業(資産運用型事業)を言います。
上記の④贈与税の申告期限について、贈与年の翌年2月1日から3月15日までに受贈者の住所地所轄の税務署に贈与税申告をする必要があります。
次回も事業承継税制について触れていきます。