なぜ公認会計士になろうと思ったか(その2)

会社退職後、TACの公認会計士講座1.5年コースを申し込みました。

1.5年程度で公認会計士の短答式試験を受験させるというコースです。

なぜ会社を辞めて方向転換したかは、公認会計士と税理士の試験制度の違いを説明しなければなりません。

税理士試験は、簿記論・財務諸表論・税法3科目(うち法人税法か所得税法のいずれか1科目は必修)の5科目に合格すれば資格が得られます。科目合格制で、1度合格した科目は失効しません。

また、当時は法律系(税法)と商学系(会計学)の2つの大学院に行くと5科目免除(いわゆるダブルマスター)(※1)等の制度がありました。

一方、当時の公認会計士試験(いわゆる二次試験(※2))は、マークシートの短答式5科目(簿記・原価計算・財務諸表論・監査論・商法)を受験後、短答式合格者のみが論文式7科目(短答式5科目+選択科目2科目(経済学・民法・経営学から選択)を受験します。短答式・論文式を連続で合格すれば会計士補(※3)という資格が得られます(そこから実務経験と三次試験合格(※4)を経て公認会計士となります)。

逆に短答式に合格しても、その年の論文式が不合格なら、翌年はまた短答式から受験しなければなりませんし、科目合格制もありませんでした(※5)。また、ダブルマスター等の免除制度もありませんでした。

しかし、公認会計士の方が資格取得へのルートが狭められている分、特典もあり、公認会計士の資格を得れば、税理士登録して税理士になることができます。逆に税理士の資格を得ても公認会計士になることができません。

税理士試験は科目合格制であるため、主に社会人が平日夕方と週末に勉強して毎年1~2科目ずつ合格していくイメージです。

一方、公認会計士は短答式5科目と論文式7科目を1年で一気に合格しないといけないため、主に学生や資格試験受験生(無職)が1年中朝から晩まで勉強するイメージです。

当時の私は、公認会計士の方が将来の選択肢が広がるように思え、ここで会社を辞めて公認会計士試験に挑戦しなければ、一生後悔するだろうなと考えました。

人生は1回きりですので、思い切って会社を辞め、リスクを承知で公認会計士の資格取得を目指すこととしたのです。

しかし、勢いで会社を辞めたため、一番の問題はやはりお金でした。

 

<注>

※1:現在では3科目免除になりました。

※2:公認会計士一次試験は、大学で一定の単位を取っていれば免除されました(現在はこの制度はありませんし、二次試験という名称もなくなりました)。

※3:公認会計士試験制度変更以後の現在では「公認会計士試験合格者」という名称で呼ばれます。

※4:現在では三次試験と言わず、「修了考査」という名称になりました。

※5:現在では短答式合格や論文式科目合格は2年持ち越しも可能になり、短答式年2回、論文式科目に租税法が追加される等の改正がありました。